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法律相談料 | 30分5,500円(税込) |
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1 はじめに
知人の逮捕なんて基本的には,起こってほしくない出来事であることは間違いありません。しかし,そうは言っても起こってしまうこともあり得ます。えん罪の可能性はもちろん,些細な気の緩みが,犯罪となってしまうこともあるでしょう。身近な犯罪の例としては,過失運転致傷(交通事故),青少年保護育成条例違反(未成年者との性的な行為),暴行,傷害(酔っ払って人を殴ってしまった),窃盗(万引き)などが挙げられるでしょうか。
このようなとき,本人は警察に連れて行かれてしまい,待っている身としては,逮捕されているのか任意同行なのかもよくわからない,いつ帰ってくるのか,明日の仕事には行けるのか,不安は募りますよね。
2 逮捕,勾留とは
そもそも報道等でよく耳にする逮捕,勾留とは,どういうときにされるのでしょうか。
まず,逮捕は,犯罪の嫌疑がある場合に比較的短期間(3日以内)身体を拘束される制度です。いくつかの種類がありますが,いわゆる「現行犯逮捕」をイメージすればわかりやすいように,必ずしも逮捕前に裁判官の判断が必要ではなく,その場にいる人の瞬発的な判断でなされることもあるくらいで,あまり要件を厳格にチェックされることはありません。
逮捕の次にやってくる手続が勾留です。こちらは,逮捕に比べて長期間(20日以内)身体を拘束される制度ですので,必ず裁判官が資料に基づいて判断します。勾留の要件は,犯罪の嫌疑があることに加えて,
①住居不定
②罪証隠滅のおそれ
③逃亡のおそれ
のどれか一つがあることです。一般に,重大な犯罪(殺人等)の嫌疑がかかっている場合は、重たい刑罰(長期間の懲役刑,死刑等)が予想できるから多少無理をしても逃亡したり,罪証隠滅行為をしたりするだろうと考えられるので,②③が認められやすく,ほとんどの場合勾留されることになります。
他方,比較的軽微な犯罪(最初に挙げた交通事故,万引き等)では嫌疑がかかっている被疑者ごとに本当にケースバイケースの判断がなされることになります。②の罪証隠滅であれば,共犯者など口裏合わせが簡単にできる者がいれば,勾留されやすい方向に働きますし,反対に,防犯カメラなどの客観的な証拠がそろっており,もう証拠隠滅の余地がないというのであれば勾留されにくくなります。また,③の逃亡のおそれであれば,同居家族がなく,仕事もないなどの事情は勾留されやすい方向に,反対に定職があって,その収入で子どもを養っているなどの事情は勾留されにくい方向に働きます。
3 弁護士にできること
何らかの犯罪の嫌疑があり,逮捕されたり任意同行を求められたりしている段階で,まずできる弁護活動は,勾留されないように検察官,裁判官に働きかけることです。上で述べたように,犯罪の類型にもよりますが,この働きかけによって勾留の判断が分かれることも十分あり得ます。そして,仮に,犯罪自体はやってしまっていて,最終的に罰金刑や執行猶予判決を受けるとしても,その前に何日も身柄を拘束されるかどうかということは大きな違いでしょう。
なお,これを読んでいる方の中には,国選弁護人という言葉を耳にしたことがあり,お金がそんなにあるわけでもないし,国選でいいやと思われる方もいるかもしれません。もちろん,国選弁護人も同じ弁護士であり,仕事自体はしっかりするでしょう。
しかし,国選弁護人は,法律上,勾留された「後」にしかつきません。勾留された「後」に勾留する必要はないと主張し,実際に何日か経って釈放されることはあります。しかし,そのときには何日も無断欠勤を続けて仕事をクビになった後,ということも十分考えられるのです。そんなことにならないように,もし,知人が何らかの嫌疑をかけられ,警察に呼ばれるなどしているようであれば,まずは一度ご相談に来てみてはいかがでしょうか。