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賃金や残業代を請求できないか?

1 賃金とは
労働基準法によれば,「賃金」とは,賃金,給料,手当,賞与その他名称の如何を問わず,労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいいます。賃金は,原則として,通貨で,直接労働者に,その全額を支払われなければなりません。また,賃金は,毎月1回以上,一定の期日を定めて支払われなければなりません。さらに,最低賃金法によれば,使用者は,労働者に対し,原則として,最低賃金以上の賃金を支払わなければならず,最低賃金額に達しない賃金を定める労働契約はその部分について無効であり,最低賃金と同様の賃金の定めをしたものとみなされます。
2 労働時間と残業
  労働基準法上の労働時間は,原則として,休憩時間を除いて週40時間以内かつ1日8時間以内です。また,原則として,週1日の休日が与えられなければなりません。法律の定めより長い労働時間を定めた就業規則は無効です。
労働基準法上の労働時間を超えて労働した場合,次の割増率を割り増しした賃金を支払うことになっています。
            深夜以外   深夜(原則午後10時~午前5時)
60時間以内の残業
     時間外労働    25%       50%
     休日労働    35%       60%
  60時間を超える残業    50%       75%
3 賃金・残業代の請求
  働いたのに賃金や残業代が支払われない場合,労働契約に基づいて,賃金や残業代の請求をすることができます。また,裁判所は,残業代を支払わない使用者に対し,残業代と同一額の付加金の支払を命じることができますので,労働者側としては,残業代だけでなく付加金の請求もすることができます。
残業代は,大ざっぱにいえば,次の式により計算されます。
「労働時間」×「時間当たりの賃金単価」×上記の割増率
時間当たりの賃金については雇用契約書や就業規則など,労働時間についてはタイムカードや日誌などの資料が証拠となります。
  賃金や残業代を請求した場合,使用者側は,「残業させていない」「働いた時間はもっと短い」といった主張をすることがよくあります。最高裁判所によれば,労働基準法上の労働時間とは,「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」をいいます。そこで,労働者側では,使用者の指揮命令下に置かれていたことを根拠づける事実関係を具体的に主張し,証明していくことになります。
  なお,賃金や残業代の請求権は,2年で時効によって消滅してしまいますので,ご注意下さい。
4 訴訟と労働審判
  残業代の請求は,訴訟を起こしてすることもできますが,労働審判によってすることもできます。労働審判では,裁判官1名に労働関係の専門家2名が加わって労働審判委員会を構成し,原則として3回以内の期日で,調停(話し合い)や審判(労働審判委員会の判断)をすることになっています。このように,早く終わったり,話し合いなどで柔軟に解決できるメリットがありますが,複雑な事件など労働審判での解決が難しい事件もありますので,どのような場合でも労働審判がお勧めであるとはいえません。
5 最後に
  これまで,法律の大まかなところだけを述べてきました。しかし,賃金や残業代の問題については,この他にも様々な法律の規定があったり,就業規則に法律と異なる定めがあることもあります。実際に残業代を請求する際には,弁護士に相談されることをお勧めします。

投稿者 : admin|2016年5月6日