弁護士日記

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原野商法について

第1 原野商法とは
「原野商法」という言葉を御存知でしょうか?
「北海道にすごくいい土地がある。その土地の近くに高速道路が通るので,土地の値段が3倍になる。絶対に値上がりするので,今すぐ買った方がいい。今なら安値で売ることができる。」
ご覧になっている皆様の中に,こんな勧誘を受けたことがある方はいないでしょうか?
このように,将来値上がりする可能性がほとんどない山林や原野などの土地を,値上がりするのが確実であるかのように嘘を言って時価よりも高い金額で買わせる手口を原野商法と呼びます。
また,最近では,「別荘地として最適だ。」などと言って,土地を買わせる手口も増えてきているようです。
さらに,この原野商法においては,「他にもっといい土地がある。」などと言って別の土地も買わされたり,別の会社の人間が「あなたの土地を高値で転売する。」などと言い,高額な測量費や広告費を請求される二次被害にあうこともあります。
このような原野商法の被害にあった場合に取り得る主な方法について,次に説明します。
第2 取り得る方法
1 クーリング・オフ
まず,契約をしてから8日以内であれば,クーリング・オフにより契約を解除できる可能性があります。
ただ,原野商法においては,不動産取引業者が関与するため,他の消費者被害の事件とは異なり,やや法律が複雑になっています。
細かい説明は紙面の都合上,省略しますが,契約から9日以上経ってしまっていても一定の条件を満たせばクーリング・オフできる場合もありますので,弁護士や消費者センターなどに相談することをお勧めします。
2 公序良俗違反による無効
一般的に,このような被害にあっている消費者には,土地の取引に関する知識はほとんどありません。
にもかかわらず,その知識のなさに乗じて,低い価値の土地を時価よりも著しく高値で売りつけるというのは,正常な取引の範囲を超えた取引と言えます。
このような取引は,暴利行為として,公序良俗違反が成立することにより,契約が無効になる可能性があります。
3 消費者契約法による取消し
冒頭で記載した設例のように,勧誘の際に,「土地の値段が3倍になる。絶対に値上がりする。」などと断言したり,そのような事実はないのに「その土地の近くに高速道路が通る。」などと嘘を言ったりしていた場合は,消費者契約法に基づき,契約を取り消すことができる可能性があります。
第3 最後に
これまで説明してきたように,原野商法の被害にあっても,ただ泣き寝入りするだけではなく,様々な方法をとることが考えられます。
ただ,そのような方法も必ずできるかといえば,そういうものではありませんし,不動産取引業者との交渉も容易なものではありません。
ですので,まずは,被害にあわないよう,このような原野商法の勧誘を受けた場合は,その場で即答せず,近くの弁護士や消費者センターなどに相談することをお勧めします。
そして,実際に被害にあった際も,できるだけ早く弁護士や消費者センターなどに相談されることをお勧めします。

投稿者 : admin|2015年5月26日

結婚情報サービス

【Aさん(45歳男性)の相談】
私は,インターネット上で,とある結婚情報サービスを見つけました。入会すれば毎月3人以上の異性を必ず紹介してくれるというので,30万円(入会金,初期費用,1年分の会費)を支払って1年コースに登録してみることにしました。
入会後,いきなり15人の女性のデータを紹介され,そのうちの連絡が取れた1人の女性とお見合いをすることができました。この方とはお付き合いをするには至らなかったのですが,この調子ならこれからもたくさんの女性を紹介してもらえそうだと期待していました。
しかし,翌月からは,毎月3人の女性が紹介されるものの,どの女性に交際を申し込んでも全く回答がもらえませんでした。
結局,このサービスは期待外れだったので,4か月利用した後で解約することにしました。
ところが,解約を申し出たところ,業者からは,すでに多数の情報を提供したので返金できないと言われました。
まだ4か月しかサービスを利用していませんし,ほとんどお見合いすることができなかったのですが,支払ったお金は取り戻せないのでしょうか?

【クーリング・オフについて】
結婚情報サービスは,好みや相性などの要素によって結果が左右され,不確実性が強いサービスであること,前金制の料金体系を取っていることから,解約をめぐるトラブルが発生しやすいサービスです。
結婚情報サービスの契約を解消するには,いくつかの方法が考えられます。
まず,クーリング・オフ(特定商取引法48条)です。
当該結婚情報サービスが,①契約期間が2か月を超え,②料金総額が5万円を超える場合,特定商取引法の適用があります(同法41条1項)。
そして,その場合,サービスの内容,料金,契約期間,クーリング・オフができること等が記載された法定書面を業者から受け取ってから8日を経過するまでは,契約を無条件で解除(クーリング・オフ)することができます(同法48条1項)。
Aさんの場合,契約締結日から4か月が経過しており,クーリング・オフはできないようにも思えます。
しかし,法定書面を業者から受け取っていなければ,契約から8日以上経過していたとしても,クーリング・オフは可能です。
また,クーリング・オフをした場合,すでに利用したサービスの対価についても返還を請求することができます(同法48条6項)。
したがって,Aさんの場合,法定書面を受け取っていないときや,法定書面を受け取っていてもその日から8日間が経過していないときは,クーリング・オフにより,30万円全額の返還を請求できることになります。

【中途解約権について】
また,法定書面を受け取ってから8日間を経過していたとしても,契約を将来に向かって解除することが可能です(同法49条1項)。
この中途解約権を行使した場合,業者は,「提供された役務の対価」に「2万円又は契約残額の20%に相当する額のいずれか低い額」(法定解約料)を加算した額を超える支払を請求することができません(同法49条2項)。
Aさんの例を見ると,1か月当たりの役務の対価は2万5000円と考えられます(30万円÷12か月)。したがって,Aさんに「提供された役務の対価」は,10万円(2万5000円×4か月)です。
これを前提とすると,法定解約料は,「2万円」と「契約残額(30万円-10万円)の20%」である4万円を比較して低い額である2万円となります。
したがって,業者がAさんに請求できる限度額は12万円(10万円+2万円)ということになり,Aさんは,残額の18万円の返還を請求することができます。

【終わりに】
このように,結婚情報サービスを契約途中で解約しても,すでに支払ったお金を取り戻せる場合があります。
もっとも,業者と交渉するには,法律に関する専門的な知識が不可欠です。
契約の解約に関する業者の対応に不満,疑問を感じたときは,すぐに弁護士に相談することをお勧めします。

投稿者 : admin|2015年5月19日