弁護士日記

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エステをめぐる法的トラブル~健康被害~

今回は,エステをめぐる健康被害についてお話しします。

脱毛施術に関するトラブルのご相談は,相当件数あります。 脱毛には,針脱毛,レーザー脱毛,光脱毛などいくつかの種類があります。その中で,レーザー脱毛や光(フラッシュ)脱毛は,熱傷(やけど)を引き起こす危険があります。 エステサロンでレーザー脱毛施術を受けたところ,やけどを負い,色素が沈着し跡が残ってしまったというご相談は,相当件数あります。

医師法17条は,医師免許を有する人以外が「レーザー光線又はその他の強力なエネルギーを有する光線を毛根部分に照射し,毛乳頭,皮脂腺開口部等を破壊する行為」をしてはいけないことを定めています。 やけど,色素沈着を負わせるような脱毛施術は,かなり強烈なエネルギーを照射したと推測でき,医師法17条に違反する施術だったといえる場合があるでしょう。

私がこのようなご相談を受け,事件としてお受けした場合,まず,そのエステティックサロンで行われた脱毛施術が,医師法17条に反する違法な施術ではなかったのか,事実関係を確認します。そして,エステサロンを営む会社に対し,やけど,色素沈着の治療にかかった治療費,そのために仕事を休むなどして被った休業損害などの損害賠償請求,そして慰謝料請求を支払うよう交渉をします。エステサロンの会社が,当方の依頼者が納得する金額を支払わない場合,損害賠償請求の裁判をすることもあります。

エステをめぐる健康被害として,まつ毛エクステンションに関するトラブルも増えています。 まつ毛エクステンションとは,まつげ1本に対して人工のまつげを装着する施術のことです。まつげエクステは,美容師法2条1項の「美容」にあたり,美容師免許を有する人以外がしてはいけないこととされています。 ところが,実際は,無免許者によって施術されることよくあり,目のかゆみ,痛み,まぶたが腫れて目が開かなくなるといった被害を受けたというトラブルが多いです。

他にも,美顔エステ(フェイシャルエステ)で,蒸しタオルを当てられたときにやけどした,ピーリング施術でこすったほおの皮がむけてシミが残ったというトラブルもあります。 身近になりつつあるエステですが,健康被害がおこることもあるので,施術者や施術内容について確認し,不安な点については説明を求めた上で,施術を受けるか判断しましょう。

万一,健康被害にあわれてしまったら,早急に,当法律事務所にご相談ください。

投稿者 : admin|2015年4月28日

エステをめぐる法的トラブル~契約~

「ツルツルの素肌を手に入れよう!」,「夏までに-3kg!」

エステティックサロンの広告は,電車の吊り広告,駅などに備え置かれているフリーペーパーなど,あちらこちらで目にします。以前のエステティックサロンが提供する商品コースは,10万円以上する比較的高額なものが多かったです。その後,初回の施術を無料や低額にした商品,女性のみならず男性を対象とした「ヒゲ脱毛」等の商品などが出現し,資力の乏しい学生(若者)が,また女性のみならず男性が,エステを利用する機会が増えました。身近になりつつあるエステですが,エステをめぐるトラブルが増えています。
今回は,エステをめぐるトラブルについてお話ししたいと思います。

最初に,エステ契約のトラブルについてです。
ある相談者の方は,美顔エステ(フェイシャルマッサージ)を無料で体験できるという勧誘電話を受けました。相談者は,エステサロンに出向いて,無料の美顔エステを体験しました。エステ施術が終わった後,販売員2人から,「お客様の肌質にとても合っている内容なので,ぜひ続けてください。」,「これからも続けてこそ,効果が確かなものになりますよ。」と美顔エステ24回コースの契約を勧められました。相談者の方は,断りきれず,24回コース契約と化粧品の購入を申し込み,信販会社に80万円のクレジット契約を申し込んでしまいました。
相談者は,サロンから自宅に戻り,冷静になってみると,「こんなに高額のエステを申し込んでしまい,後悔している。」「この契約をやめたい。」と考えました。そこで,当事務所に法律相談にいらっしゃいました。

クーリングオフ」という言葉をお聞きになったことのある方もいらっしゃるでしょう。
3月30日の回で,詳しくお話ししましたが,一定の取引について,所定の期間内であれば,何らの理由も必要としないで,かつ,無条件に申し込みを撤回し,または,契約を解除することができるという制度です。
継続的にエステ施術を提供するサービス契約は,特定商取引に関する法律(特定商取引法)に定められたクーリングオフの要件を満たせば解除できますし,信販会社との間で結んだクレジットの契約も,割賦販売法に定められたクーリングオフの要件を満たせば解除できます。

ところが,このクーリングオフ制度を悪用したトラブルに巻き込まれてしまったというご相談が増えています。
ある相談者の方は,エステサロンで,エステシャンから,「無料でエステを受けられるチケットを渡しますので,うち(エステサロン)から化粧品等を購入することにして,クレジットの申込をしてくれませんか。」,「化粧品を購入した契約もクレジット契約も,クーリングオフするので,お客様にご迷惑はおかけしません。」,「お客様には何の負担もなく,無料エステを受けられるのですから,お得ですよ。」と誘われました。
相談者の方は,あまり深く考えることなく,その誘いにのってしまい,化粧品の購入契約書とクレジットの申込書を作成してしまいました。その後,エステサロンはもぬけの空になり,相談者の方はエステシャンと連絡が取れなくなってしまいました。相談者の方は,化粧品を受け取ったこともないのに,クレジットの返済を続けている,返済が厳しいので,助けて欲しいと,当事務所の法律相談にいらっしゃいました。

他にも,クーリングオフ制度を悪用したトラブルに巻き込まれたというご相談が増えています。
これらのトラブルは,「無料エステ」が契機となっていること,その場で慎重に判断しないまま契約書を作ってしまったことが,共通しています。身近になりつつあるエステですが,悪質なトラブルに巻き込まれないよう,慎重に行動することが大切です。
万一,トラブルに巻き込まれてしまったら,早急に,当法律事務所にご相談ください。

投稿者 : admin|2015年4月20日

過量販売解除権~枕を買いすぎてしまった~

【Aさんの相談】
私は,75歳の一人暮らしです。年金生活を送っています。
寝具業者が私の自宅にやってきました。私は,ちょうど枕を購入しようと思っていたため,その業者から快眠枕を3万円で購入しました。1か月後,同じ業者が自宅にきて,「そろそろ新しい枕を購入すべきですよ。」と勧められ,私は,新たに3万円の快眠枕を購入しました。その後も,何度も同じ業者が自宅にやってきて,次々と枕を購入してしまいました。
昨日も同じ業者がやってきて,既に10個も枕があるにもかかわらず,断り切れず,さらに3万円の枕を買わされてしまいました。今,自宅に枕が11個あります。
枕はもう要りません。枕はお返ししますので,今まで支払った金銭の一部でも
返還してもらえないでしょうか?

【過量販売解除権について】
訪問販売で,明らかにたくさんの商品を買ってしまった経験はないでしょうか。また,最近では,業者が入れ替わり立ち替わり商品を販売する「次々販売」の消費者被害も増えています。
そこで,今回は,「過量販売解除権(特定商取引法9条2項)」について説明したいと思います。
過量販売解除権とは,業者が,消費者に通常買うはずがない非常に多い量の契約をさせたときに,消費者が契約を解除できるものです。この解除は,契約締結の日から1年以内に行う必要があります。
解除できる条件は以下のとおりです。
(1)訪問販売に当たること
(2)「日常生活において通常必要とされる分量を著しく超える」商品・役務購入であること
※(2)については,2つの場合が規定されています。
①1回の契約による販売量が過量である場合
②ア.過去の購入の累積から,販売行為が,結果的に過量販売契約になることを知りつつ販売を行う場合
(買主が今回商品を購入すると,所持量が過剰になることを知りつつ,商品を売る場合),あるいは
イ.既に過量な保有状況の消費者であることを知りつつ販売を行う場合
(買主が既にある商品を購入しすぎていることを知りながら,さらに商品を売る場合)
 
 解除した場合,契約自体が無かったことになり,購入者は,業者に対し,支払った金銭の返還を要求することができます。消費者は,手元に商品がある場合には,当該商品を返還することになります。なお,商品の引取りに関する費用は,事業者の負担となります。

では,先ほどのAさんのケースで,過量販売解除権はどのように活用できるのでしょうか?
Aさんは,1人暮らしなので,短期間に枕11個は明らかに不要です。寝具業者は,Aさんが既に枕を十分に保有していることを知りながら販売を続けているようです。これは,過量販売解除権を使える場面(上記(2)②ア,イ)に当たる可能性が非常に高いと言えます
そこで,Aさんは,寝具業者に対し,一定時期からの売買契約について,過量販売を理由に解除することが考えられます。この解除は,売買契約締結後1年以内に行う必要がありますので,注意が必要です。
解除すれば,Aさんは,寝具業者に対し,(解除された)契約に基づき支払った代金の返還を求めることができます。枕が自宅にある場合には,それらを返還する必要がありますが,新品である必要はありません。また,送料は,寝具業者が負担するので,Aさんが支払う必要はありません。
このようなケース以外でも,過量販売解除権を使える場面は数多くあります。
訪問販売で商品を購入しすぎたと悩んでいる方,まずは一度ご相談ください。

投稿者 : admin|2015年4月13日

消費者契約法について

事例A 英語教材のセールスマンが家に上がり込んで帰ってくれないので,仕方なく教材を購入してしまった
事例B 貴金属販売の展示会に行ったところ,勧誘がしつこくて帰れず,アクセサリーを購入してしまった
事例C 「パチスロで絶対に当たる」と言われ,高額で攻略法を買ったが,全く当たらない
事例D スイミングスクールの授業中に,指導員の不注意で怪我をしたが,入会時にサインした契約書には「怪我については一切責任を負わない」と記載されていたため,治療費を全て自分で支払った

このような状況になってしまったり,身近でこのような話を聞いたりしたことはありませんか?泣き寝入りするしかない,と諦めてしまわないでください。解決することができるかもしれません。個人(「消費者」と呼びます。)と業者との間のトラブルを予防・解決するための法律には「金融商品取引法」や「特定商取引に関する法律」など,様々な法律がありますが,今回は,消費者問題についての基本的な法律である「消費者契約法」の概要についてお話しします。

消費者契約法は,消費者と業者との間の全ての契約に適用されます。そして,契約してしまった後でも,その契約をなかったことにして(「取消し」といいます。),消費者を契約から解放することのできる決まりが定められています。

【取消しができる場合】※取消しが可能な期間は原則6ヶ月間
①業者が,契約に関する重要事項について事実と異なる情報を与え,消費者がそれを信じて契約してしまった場合
②業者が,将来の不確実なことがらについて断定的な判断を伝え,消費者がそれを確実なものだと思って契約してしまった場合(上記事例Cのような場合)
③業者が,契約に関する重要事項について,消費者に利益となることを伝え,不利益となることをわざと伝えなかったことから,消費者が不利益はないと考えて契約してしまった場合
④業者が,消費者が「帰ってほしい」「いらない」と言っているにもかかわらず居座り,消費者が困って契約をした場合(上記事例Aのような場合)
⑤業者が,消費者が「帰りたい」「いらない」と言っているにもかかわらず帰らせてくれないため,消費者が困って契約をした場合(上記事例Bのような場合)
また,契約全体をなかったことにはできない場合でも,契約で定められた条項のうち,消費者に不利益にはたらく部分の効力は認めない(「無効」といいます。)と主張することができます。

【無効を主張できる部分】
①業者側の事情で消費者に生じた損害の一部または全部について,業者が責任を負わないことを内容とする条項(上記事例Dのような場合)
②消費者が契約を解除した場合に,業者側に生じる平均的な金額を超えた金額を損害賠償として消費者が支払うことを定めた条項
③消費者が支払いを怠った場合に,14.6%を超える利率で損害金を支払うことを定めた条項
④消費者の利益を一方的に害する内容の条項

このように,消費者の利益を守るため,さまざまな決まりがあります。これらを利用して消費者トラブルを解決するためには,細かい要件を満たしているかどうか確認したり,消費者契約法が使えない例外に当てはまらないかを確認したりする必要がありますので,まずは弁護士に御相談していただきたいと思います。

投稿者 : admin|2015年4月6日