弁護士日記

HOME > 弁護士日記

刑事事件~否認と黙秘権について

前回は,捕まった人が主に罪を認めて反省している場合を念頭に置き,弁護士としてできることを説明しました。
今回は,捕まった人が「自分はしていない!」などと罪を認めていない,いわゆる否認事件の場合について,注意する点を説明します。
それは,取調べを受ける人に,法律上認められている権利を知るということです。
黙秘権については,皆様もどこかで聞いたことがあって何となく内容も分かるかもしれません。
しかし,たとえば,取調べ中に,警察官から「黙秘するのは権利だから構わない。ただ,黙秘していると,お前は確実に裁判になる。裁判官が取調べで黙秘していたことを知ったらお前の罪は絶対に重くなる。だからきちんと罪を認めて正直に話せ。」などと言われたら,どうでしょう?
何も知らない人からすると,黙秘をやめて,やってもいない罪を認めてしまうかもしれません。
しかし,この警察官の発言は間違いで,黙秘していたことのみで罪を重くすることは,たとえ裁判官であろうとできません。
黙秘権というのは,単に黙っていられる権利というだけではなく,黙秘していたことのみで罪を重くされることはないということが保障されている権利なのです。
また,自分の身に覚えがない内容が記載されている供述調書について,警察官が「最後に署名しろ。署名するのは義務だから。調書の内容を直すこともできない。」と言ってきたら,どうでしょう?
何も知らない人だと,そのまま仕方なく調書に署名するかもしれませんが,この警察官の発言も間違っています。
署名が義務ではないこと,供述調書の内容を訂正したりできることについても,きちんと法律などで決められています。
普通の人は,捕まった人に認められている権利を知らないと思いますので,そういう権利を知るためにも,早めに弁護士に相談されるのが良いと思います。
また,否認している場合,弁護士以外とは会えない状態(接見禁止と言います。)になっていることがあり,そのときは,捕まっている人の味方として支えられるのは弁護士しかいません。
次回は,国選弁護人と私選弁護人の違いなどについて,説明します。

(弁護士 久冨木大輔)

投稿者 : admin|2014年7月28日

刑事事件の弁護活動~示談交渉など

第1弾では,傷害罪の事件をもとに,大まかな刑事手続の流れを説明しました。
今回は,その刑事手続の中で,弁護士ができることを中心に説明したいと思います。
まず,急に逮捕されて,勤務先や学校などに連絡を取りたい場合,弁護士が代わりに家族に連絡を取るなど,できうる限りのお手伝いをします。
また,3週間近くも会社に行かないとクビになってしまうという方もいると思います。
このような場合も,通常,期限の途中で釈放するということは,ほとんどありません。
法律上,釈放を求める制度は,いくつかあります。
馴染みのない言葉かも知れませんが,「勾留に対する準抗告」,「勾留取消請求」,「勾留延長に対する準抗告」などの制度があります。
これらは裁判所に請求するものですが,なかなか一般の人では請求自体が難しいと思いますので,これらの書類を書くのも弁護士の仕事です。
さらに,刑事事件においては検察官が事件を起訴するのかどうか決めるのですが,事件の背景事情を検察官があまり聞いてくれなかったり,逮捕された人が自分の気持ちをうまく伝えられなかったりすることがあります。
そのような場合,弁護士が,逮捕された人に代わって,検察官に「意見書」として,逮捕された人の思いを伝えることも可能です。
そして,飲み屋での喧嘩のような傷害事案では,相手の被害者と示談できるかということが重要な問題になります。
一般的に,被害者が怒っていると罪が重く,被害者が許していると罪が軽くなる傾向がありますので,被害者と示談できるかどうかは非常に重要になります。
被害者と示談ができれば,起訴されずに前科がつくこともなく事件を終わらせられる可能性が高まるのです。
ただ,もちろん,捕まっている人は,被害者と示談の交渉をすることはできませんので,弁護士が代わって被害者と示談交渉します。
他にも,「深夜,路上で,背後から女性の胸をもんだ」というような強制わいせつ事件,「電車内で痴漢した」というような条例違反事件,「いわゆるオレオレ詐欺事件」などの詐欺事件,「交通事故を起こし,相手を怪我させたり死なせてしまった。」という自動車運転過失致死傷事件,「会社の金を従業員が使い込んだ」という横領事件など,被害者がいる犯罪であれば,どんな事件でも示談交渉というのは重要になってきます。
次回は,否認事件についての注意点について,説明します。

(弁護士 久冨木大輔)

投稿者 : admin|2014年7月19日

刑事事件の流れ~傷害罪~

私は,この4月から,東京フロンティア基金法律事務所に入所した弁護士の久冨木と申します。
さて,これから,何回かに分けて,私がこれまで担当した刑事事件の経験から,簡単な刑事手続の流れや実際に事件に巻き込まれた場合の注意点などを簡単に説明したいと思います。

それでは,まず,当事務所のHPの「取扱業務 刑事事件」のところに記載されている「飲み屋で喧嘩して相手に怪我をさせた事件」を例に,刑事手続の流れを説明していきます。
相手に怪我をさせる行為は,刑法で「傷害罪」として規定されています。
そして,この傷害罪の法定刑は「15年以下の懲役または50万円以下の罰金」と決められています。
どういうことかというと,他人を傷つけた者は,法律上,最長で15年間刑務所に入れることができるということです(もちろん,どんな事件でも刑務所に行くわけではありませんが・・・。)。
話を戻して,喧嘩をして,警察署に連れて行かれ,そこで逮捕された場合,最長で,その日から23日間は,警察署の中で生活し,自宅に戻れない可能性があります。
そうして,起訴,つまり裁判にかけられた場合は,さらに裁判が終わるまでの間,基本的に家に帰ることはできません。
裁判の結果,実刑判決が出た場合は,刑務所に収監され,原則として判決で決められた刑期を終えるまで刑務所で生活することになります。
これは,最悪の事態を想定したもので,必ずしも全員がこのような結末になるというものではありませんし,手続の途中で家に帰ることができる場合もあります。
次は,刑事事件において,弁護士ができることを中心に説明したいと思います。

投稿者 : admin|2014年7月8日